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『パブリック 図書館の奇跡』

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2020年7月19日、日曜日、なんばパークスシネマの様子です。
実は今回私が鑑賞した『パブリック』という映画、そんなに宣伝されているとも思えず、基本はミニシアター系での公開なのですが、なんばパークスシネマでは、いつも舞台挨拶に使用される2番目に大きなスクリーンで上映されていて、また老若男女幅広く多くのお客さんが詰めかけており意外でした。
今回、この映画に集まった映画ファンのアンテナが素晴らしいと思いました。



『パブリック 図書館の奇跡』
解説:行き場を失ったホームレスたちの避難所と化した図書館で起こる騒動を描くヒューマンドラマ。俳優のみならず『ボビー』などで監督としても活動するエミリオ・エステベスが、現代社会の過酷な現実を背景に心温まる人間模様を紡ぐ。ある新聞記事を題材に約11年の歳月をかけて完成させたエミリオが主演も務め、『ブルージャスミン』などのアレック・ボールドウィン、『トゥルー・ロマンス』などのクリスチャン・スレイター、『バスキア』などのジェフリー・ライトらが共演する。

あらすじ:記録的な大寒波により凍死者が続出する中、満杯の緊急シェルターに入れなかったホームレスの集団が図書館のワンフロアを占拠。彼らの境遇を心配した図書館職員のスチュアート(エミリオ・エステヴェス)は、代わりの避難場所を求めてデモを始めたホームレスたちと行動を共にする。しかし、メディアの報道などでスチュアートは危険人物に仕立てられ、さらには警察の機動隊が出動する騒ぎへと発展していく。


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アメリカはオハイオ州シンシナティ。記録的な大寒波によりホームレスたちの凍死者が続出していた。
市の図書館に勤務するスチュアート(エミリオ・エステベス)は、寒さをしのぐ為に図書館へ毎日やってくるホームレスたちとはすっかり顔なじみ。
しかし、当然市の共用施設である図書館にホームレスが入り浸る事を、快く思わない人達もいるから、スチュアートたち職員はいろんな人間模様と市政の板挟みになっているどころか、あるホームレスを“体臭”が理由で退館させた事により、訴訟問題に発展しそうになっている。

ある一段と冷え込みが厳しい日に、お世話になっている上司(ジェフリー・ライト)から自分が解雇対象になっている事を聞いたスチュアートは、「頼むから今夜だけは寒さをしのぐ為にここに居させてくれ」というホームレス達の懇願を聞き入れ、自分が管理する図書館の3階フロアにホームレスたちを受けいれる。
その行動は静かで小さなプチ籠城のようなかたちになるのですが、次の市長戦に敗色濃厚なので一発逆転のパンチを求めた候補のジョジョ(クリスチャン・スレーター)や、スクープを期待して食いついてきたテレビ局などハイエナのような人達によって、スチュアートはまるで人質籠城事件の犯人のように扱われてしまう・・・というお話。

この映画はテンポの良いコメディに見えた予告編と本編は大違いで、いつの世にも蔓延る社会問題を静かにゆったりと描いているのがエミリオ・エステベスらしい。
後半になるほど『ダイ・ハード』ぽくなっていきますが、この映画は静かに暴力的な事を極力排除しないと、まったく見る側に作り手の素晴らしいメッセージが伝わらないから、まるで燃え上がりそうな炎を消すというような演出に終始しているのが逆に超クール!
アメリカってよく分からない。こんなに素晴らしい映画が地味に扱われ、いつの時代も人種差別や民族間や貧富の差で争っている。だからこそ抱えている問題が深いんでしょうね。
この映画は、私のようなアラフィフ世代の映画ファンにとって、まるで同窓生のようなエミリオ・エステベスの最高傑作やと思う。

[2020年7月19日、『パブリック 図書館の奇跡』、なんばパークスシネマ・スクリーン⑩にて鑑賞]


ハイっ!

ここからはネタバレ要素含みます。観覧には注意で!

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  私も息子の少年野球チームに携わっていたとき、毎週行く河川敷のホームレス達と交流がありましたが、彼ら日本のホームレスとアメリカのホームレスはスタイルが全然違う。日本のホームレスたちも一人一人はとても優しい人なんですが、どちらかと言えば孤独を好み「世捨て人」の色が濃い。
それに比べてアメリカのホームレスたちは「自由人」としてのプライドが高く、比較的群れている。

この映画に登場するホームレスたちも、図書館に入るや否や、まずトイレで歯を磨き、身だしなみを整える。ネットカフェ難民に近いね。
で、アメリカにはホームレス専用のシェルターがあるようなんですが、どこも満杯状態で。
普通は映画的に話を盛って見る側を惹きつけるものなのですが、この映画のスチュアートやホームレスたちは、ただ声をあげたい(行動で示したい)だけで、事を大きくしたくはないのです。
しかし、刺激を求める“外側の人間”たちはフェイクニュースにしてまで、事を大きく扱いたがる。この映画はソコの部分のせめぎ合いの見せ方が秀逸で、社会が抱えている問題提起の仕方も押しつけがましくない。

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この作品は数少ない女性陣がまた凄く良い。
スチュアートの同僚で、メガネが似合う遅刻魔マイラ(ジェナ・マローン)は、本当はスチュアートと共に図書館に残りたかったという正義感の持ち主。
スチュアートが住むアパートの管理人アンジェラ(テイラー・シリング)は、スチュアートと結ばれた次の日にスチュアートの図書館を訪ね、籠城事件に巻き込まれる。
私、女が女を「このクソ女」呼ばわりしてる光景がたまらなく好き(爆汗)・・・。竹を割ったようなマイワイフのようなね(汗)・・・。この映画の女性二人はそういう人。

私はスチュアートとアンジェラの会話を聞いて・・・我々は人間として道を外すなと教育されている気がするので、どこかで羽目を外してみたいという本能みたいなんがあるんちゃうかな?と。
うまく書けませんが、声をあげて叫びたい「それおかしいやろ!」って事が多すぎてやりきれない。
エミリオ・エステベスがこの映画で言いたい事って、凄く世代的にも共感できることが多かった。



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物語が進むと、実はスチュアートも元ホームレスだったという事がわかる。
『ダイ・ハード』のような図書館への機動隊突入という事態に、冷や水を浴びせるような寒い行動が、見る者に温かい余韻を残す。

私より少し年上のエミリオ・エステベスは、彼が若い頃から私は好きだった。私は彼の声と話し方が特に好きやね。
そんなエミリオ・エステベスのインタビュー記事を読んだ。
「この映画『パブリック』は人種差別問題などで揺れる今年に公開されるべきだったね」と。
実はこの映画、2018年の映画なんですよね。
豪華キャストで内容が素晴らしいのに、なんで今頃小規模で公開なんや?と、近年の映画配給に私は首をかしげる。

では、「なんとなく人生ツイてないよね」みたいに自虐するエミリオ・エステベスの映画に、なぜたくさんの人が集まるのか?
エンドタイトルの俳優のトップクレジットが、劇中素晴らしい助演だったアレック・ボールドウィンなんですよね。
年上の名優アレック・ボールドウィンを立てるエミリオ・エステベスの謙虚なスタンスを、映画ファンはみんなよく知っている。
結局はみんなが主役という群像劇に仕上げたところがお見事!
ひとりでも多くの人の心に参加してほしい映画やからね。


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コメント

これおもしろそうだね

面白そう。兄貴に、超クール!と言わしめたこの作品のもってる味わいがかなり気になる。アメリカにはシェルターとかあんだね、日本には、なかなかないような気がする。昨日もどっかの駅の階段のすみに座り込んでたな。寒いのも暑いのも命取りだね、昨今の世界は。

キモサベ毎度!

今日も日本のニュースで、関東の駅からホームレス排除やって。
駅前のタワマンのクソ住民たちがクレームしてるらしい。ホンマにそういうニュースにはイラっとくるね。
俺の夢はホームレスなんですよ。その時に見かけたら優しくしてくれ(笑)・・・。

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