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『飢餓海峡』 第2回 新・午前十時の映画祭

今日は朝から映画鑑賞してきたので紹介します。
 



『飢餓海峡』の宣材2種です。
 
 


本日の大阪ステーションシティシネマの様子です。
今朝は雨模様やったんですが、場内はほぼ満席でした。
 
 
 
『飢餓海峡』
解説: 水上勉の同名推理小説を内田吐夢が映画化。「砂の器」と並び、日本映画の傑作と称される。東映が監督に無断で編集した167分版と、監督自身の手による183分の完全版がある。昭和22年に青函連絡船沈没事故と北海道岩内での大規模火災が同時に起きる。火災は質屋の店主を殺害し金品を奪った犯人による放火と判明。そして転覆した連絡船からは二人の身元不明死体が見つかった。それは質屋に押し入った三人組強盗のうちの二人であることが分かる。函館警察の弓坂刑事は、事件の夜に姿を消した犬飼多吉という男を追って下北半島へ赴く。
 
 
 
『飢餓海峡』という作品、私は過去にテレビで2度観た事があるんですが、2回とも中途半端に鑑賞していたので、今回、初めて見るような感覚に襲われた。
私が今回、初めてスクリーンで鑑賞した『飢餓海峡』という作品は1965年公開の東映作品で、「飢餓海峡・・・それは、誰の心にも存在する」というナレーションで始まる。
 
昭和22年、青函連絡船の沈没事故と、北海道岩内で大規模な火災が同時に発生する。
転覆した連絡船から収容した遺体の数が乗客名簿より2名多い事と、火災のどさくさに紛れて発生した質屋一家強盗殺人事件を結び付けた函館警察の弓坂刑事は、犬飼という大男の行方を追うんですね。
しかし、青森で犬飼の消息は途絶えてしまう・・・。
この作品、台風の影響で実際に起きた歴史的事件を下敷きに描かれる前半のドラマが実にスリリング。
必死の逃亡を続ける犬飼という男を、弓坂が少し遅れて追跡しているという時間軸の使い方が秀逸なんです。弓坂は少しの後手を踏み続ける。
 
犬飼は、命がけで単身渡った青森で、八重という娼婦に出会うんですね。
極貧から身を売る八重に同情した犬飼は、八重に大金を渡して姿を消す。
しかし八重は、犬飼から貰ったお金を元に人生を立て直すべく東京へ向かう。
この映画の中盤では、犬飼を恩人として想い続けながら苦労する八重の姿が描かれるんですが、同時に八重の嘘によって、犬飼の姿を見失う弓坂の姿も描かれる。
ある日八重は、新聞記事に載っていた樽見という人物に犬飼の面影を感じ、樽見に会いに行くんですね。それは台風に紛れた歴史的事故から10年の歳月が流れた後だった・・・。
八重は、命の恩人である犬飼に一目会ってお礼が言いたいだけだった・・・。
しかし・・・八重に自分の正体を見破られた犬飼は、八重を殺してしまうんですね・・・。
 
この作品、根底で描かれているのが貧困なんです。
犯罪を犯してしまった者、追う者、犯人をかばい続けて、犯人を恩人として慕いながらも、結局は殺されてしまう者、すべてが貧困にあえいでいる。
正体を見破られ逮捕された犬飼が罪を認めて何に狼狽するのか・・・。
「飢餓海峡・・・それは誰の心にも存在する」という部分を描いた実に深い深い作品です。
この作品が約3時間と長いのは、そういう貧困にあえぐ人々の複雑なドラマを噛み砕いて説明しているからなんですよね・・・。
 
この作品のメッセージ、弓坂刑事を演じた伴淳三郎のセリフに集約されている・・・。
「本当の泥沼の貧困を経験した者にしかわからない」と・・・。
ただ生きる事に必死のパッチだった人間が何を信じられるのか?
生きる為にそれを見失ってしまった犬飼の生き様も悲しい。
まさに人間のを描いた傑作ですね・・・。
 
[2014年、6月22日、『飢餓海峡』、大阪ステーションシティシネマ・スクリーン10にて鑑賞]
 
 
 

冒頭、網走から出所した悪人に協力させられ、犯罪に巻き込まれる犬飼(三国連太郎)の姿が描かれる。
 
 
 
 

 ↑
台風により発生した青函連絡船の事故処理に追われる弓坂刑事(伴淳三郎)の姿が同時に描かれる。
弓坂刑事は、乗船名簿にない身元不明の2遺体の謎に注目する。
同時に発生した大規模な火災に紛れた殺人事件の真相と、転覆事故の遺体の数に注目した弓坂刑事は、目撃されていたひとりの大男の行方を追う。
このシーンが後半の伏線になるのは見事。
 
 
 


 ↑
捜査の目をかいくぐり青森に渡った犬飼は、八重(左幸子)という娼婦と出会う。
飢えた犬飼が、八重の持つおむすびで結ばれる出会いのシーンが良いですね。
明るい八重の不幸な境遇に同情した犬飼は、八重に大金を渡して姿を消すんですね。
 
 
 
 

 ↑
犬飼のくれたお金で借金を清算した八重は、親孝行した後、東京に行く決心をするんですが・・・。
犬飼を追ってきた弓坂刑事に、犬飼をかばって嘘をつく八重。
その嘘で、弓坂刑事は犬飼を逃してしまい、自身も窮地に陥るんですよね・・・。
 
 
 

10年の歳月が流れ、ある実業家として成功していた樽見の姿に犬飼の面影を見た八重は、敦賀にいる樽見に会いに行くんですね。
そこで樽見が犬飼であるという正体を見破った八重は、自分が生きる支えにしていた恩人に殺されてしまう(涙)・・・。
 
 
 
 

 ↑
八重を殺した樽見(犬飼)は、目撃された使用人も一緒に殺した事で、遂に逮捕されてしまう。
 
 
 
 

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後半に活躍するのは、樽見の殺人を暴いた味村刑事(高倉健)
味村は、犬飼を逃した責任を負わされ、貧困生活にあえいでいた元刑事である弓坂を呼び寄せる。
ブレイク前の健さん演じる味村という刑事も切れ者で良い。
 
 
 

 ↑
生きる為に罪を犯した犬飼。
弓坂に諭された犬飼は、海峡を渡る船上で、弓坂のお経を聞いて、ある行動に出る・・・。
 
 
 
 
 

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津軽訛りが凄い八重を演じた左幸子さんの菩薩のような演技は圧巻。
犬飼の爪を大事に抱き、犬飼への恩を支えに生きてきた八重が、なぜ犬飼に殺されなければいけないのか?という部分が凄く悲しい。
左幸子さんは、今村昌平監督の『にっぽん昆虫記』での演技も素晴らしい女優さん。
 
 
 
 
 

 ↑
劇中で大男と言われるくらいですから、三国連太郎さんは大柄やったんですね。
津軽弁の八重に対し、関西訛りがあるという犬飼を見事な関西弁で熱演。
 
先日私が鑑賞した『太秦ライムライト』という作品の福本清三さんが、全盛期の内田吐夢という監督さんについて語っておられた。
「ただ斬られる役でも、何でお前はそいつに斬りかかっていくのか。その後のお前の人生はどうなるのかまで考えて斬りかかっていけ」と指導されたと。
それだけきめの細かい演出をされるという、名匠内田吐夢監督の大傑作ですね。
長回しが多い撮影に応えた俳優陣の演技も光る名作です。
まったく3時間という長さを感じさせない構成は見事です。
 
 
 
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