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『アンタッチャブル』

 

↑B5チラシです。
 

↑関西版新聞広告です。
 

↑A4パンフです。
 
『アンタッチャブル』
解説: 名作TVシリーズ「アンタッチャブル」をパラマウント映画が創立75周年記念として映画化した大作。財務省の捜査官エリオット・ネスが3人の仲間と共にアル・カポネ摘発に乗り出す。30年代のシカゴを見事に再現した美術、鮮烈なモリコーネの音楽、個性的な役者の顔ぶれとどれをとっても一級の作品だが、独特のスタイルを崩さない上で娯楽作品に徹したデ・パルマの正攻法の演出と力量も凄い。
 
 
 
ヒッチコックの影響を受けたサスペンス映画の巨匠ブライアン・デ・パルマ監督が、一時期大作映画を手掛けていたんですが、ある意味、『アンタッチャブル』という作品はブライアン・デ・パルマ監督の頂点を極めた大傑作にして、1980年代を代表する名作映画だと思います。
 
この作品はすべてが素晴らしいんですが、冒頭のシーンからして語り口が上手い。
床屋で髭を剃ってもらっているアル・カポネと、彼を囲む報道陣。
アル・カポネはギャングのボスなんですが、そんな彼に報道記者は、「市民はあなたの事を影の市長だと呼んでいますよ」と持ち上げる。上機嫌のカポネが振り向いた瞬間に髭剃りに失敗してカポネの顔から血がにじみ、その場の空気が凍りつく。場面が変わり・・・。
そんなカポネに屈しない男が経営する店に、怪しげな男が鞄を忘れる。男が忘れた鞄を親切に届けようとした少女ごと、店は木端微塵に爆破される。
情け無用のアル・カポネというギャングの恐ろしさを存分に見せておいて、カポネを検挙する為に選ばれたひとりの財務省捜査官エリオット・ネスが登場する。
 
禁酒法下の1930年代のシカゴはアル・カポネに表も裏も支配され、街の警官たちもみんな汚職まみれなんですね。
ネスは信用できる部下を集める為に、橋で出会った初老の警官マローンに協力を頼み、独身で警察学校に席を置く射撃の名手ストーンと、本署から送られてきた税理士ウォレスを味方につけ、たった4人でアル・カポネに戦いを挑むというお話なんですね。
このネスと仲間たちの出会いのエピソードがいちいち面白くていちいちカッコいい。
「私の腹に贅肉がつく前ならな・・・私はこの時を恐れていた」と嘆きながらも、警官としての誇りを守る為にネスの正義感に共感し、ネスと手を結ぶマローンの言葉は名セリフの連発。
「法を守る人間の使命とは、毎日生きて家に帰る事」というマローンの教義はネスを勇気づける。
 
この作品、誤解を恐れずに書くと、男から見るとね、こんなに男気にスイッチが入る映画も珍しいというくらいの暑苦しい正義に心が躍る。なぜこの作品の4人を見て心が躍るのか?
4人の心は決して悪の力や金にはなびかない。
金では買えない人間の誇りや本当の信頼関係の強さがあれば、大きな力に対抗できるという壮大なロマンが描かれているから。
アンタッチャブルズと呼ばれた4人の勇敢さに魂が震える。むっちゃ男の映画なんですよ。
 
4人は苦戦する。カポネを合法的に摘発する為には脱税しかないんですよね。
しかし、戦いの中でネスは大事な仲間を失っていく。ネスは証人を確保して、裁判での弔い合戦に挑むんですが・・・。
まったく無駄のない語り口を、ロケとセットを融合させ、場面ごとに音楽を変えて展開するこの作品には、心底酔えました。
裏切り者の頭をバットでかち割るカポネ。仲間を殺した殺し屋を裁判所の屋上から突き落とすネス。
デ・パルマ監督らしい鮮血の美学を随所に配置した、超一級の娯楽大作でした。
 
私はこの作品、劇場で3回観たんです。最初と最後はひとりで、2回目は友人のフリオと観た。
最初に観たとき、私は興奮して友人のフリオに電話をかけた。
2回目にフリオとオールナイトで観たとき、映画を褒めないフリオが絶賛で興奮していた。
3回目にアンコール上映のシネラマОSで観たとき、観終わって私がロビーにいると、私の目の前の公衆電話でサラリーマンが大興奮してて、「凄い映画を観た。俺、興奮してるわ。ゴメン、今日は朝まで家に帰らんとくわ」とか叫んでた(爆)・・・。
ホンマに観終わるとスカっとしながらも興奮する映画でしたわ・・・。
 
[1987年、10月3日、『アンタッチャブル』、南街劇場にて鑑賞]
 

冒頭の床屋のシーン。
アル・カポネ(ロバート・デ・ニーロ)の頬に血が滲み、その場の空気が冬の八甲田山状態(汗)
男は床屋で髭を剃られるという行為を体験する時から、絶対に動いてはいけないと覚える。
でもカポネは動いちゃう(笑)・・・。
そういう刃物を顔に当てられるという生理的嫌悪感を用いた見事な導入部分でした。
 

新しく配属されてきた財務省捜査官エリオット・ネス(ケビン・コスナー)は、小さな少女がギャングの縄張り争いの犠牲者になった事に心を痛め、カポネの検挙に意欲を燃やすが、腐敗した警察内部の情報は外部に筒抜け。奇襲捜査も空振りに終わり署内の笑いものに・・・。
 

傷心で帰路につくネスは、橋でひとりの警官マローン(ショーン・コネリー)の職務質問を受ける。
このシーンが最高。
ロクに身体検査もしないマローンに、ネスは「この街の警官はいったいどうなってるんだ?」と怒る。
するとマローンは、「自分の身分を財務官だなんて嘘をつくヤツはいない」とのたまう(笑)
そしてマローンは続ける、「いい警官は生きて家に帰ることだ」と・・・。
 

ネスはマローンを信用し、教会で共にカポネと闘うように懇願する。
この時にマローンはお守りのように身につけていた警察署の鍵を握り、ネスと握手をかわす。
 

マローンの導きで汚職されていない人材を探すネス。
射撃の名手ストーン(アンディ・ガルシア)と税理士ウォレス(チャールズ・マーティン・スミス)を仲間に加え、4人はアンタッチャブルズとしてギャングたちから恐れられるようになる。
新人のアンディ・ガルシアもこの作品でブレイクしましたが、『アメリカン・グラフィティ』での童貞君だったチャールズ・マーティン・スミスのキャスティングにはしびれたね。
私はドラクエをプレイするとき、基本の4人は「ねす、まろん、すとん、うぉれす」とネーミングしてた。
 

この作品で強烈やったのが、不気味な殺し屋を演じたビリー・ドラゴ。
殺し屋にしか見えん見事な爬虫類顔ですよね(笑)・・・。
この顔で「パン買ってこい」とか言われたら、世の中の90%の男は従うと思うんよ(爆)・・・。
私なら言われなくてもコーヒー牛乳までつけて届けるね(爆汗)・・・。
 


仲間を失いながらも、ネスはカポネ検挙を諦めない。
この作品、残酷描写が多いのに躍動感があって、禁酒法の終わりを告げるラストでは爽快感まで味わえる。
良い警官だったマローンの精神はストーンに受け継がれ、大仕事をやってのけたネスが街の雑踏に消えるラストシーンの余韻は最高やった。
 

この作品で大ブレイクしたケビン・コスナー。
無茶苦茶かっこよかったね。
この作品のネスは良きファミリーマンとして描かれているところがナイスでした。
カポネもね、ネスの家族には手を出しそうで出さない。
その辺りには古き良き時代のギャングのしたたかさと仁義を感じる。
 

この作品で一世一代の名演を見せたショーン・コネリー。
この作品から唯一オスカーに絡み、初ノミネートで見事最優秀助演男優賞に輝いた。
初代ジェームス・ボンドで有名なショーン・コネリーなんですが、私はロジャー・ムーア世代なんで、どちらかというとジェームス・ボンド以降のショーン・コネリーが好きなんですね。
この作品でショーン・コネリーが演じたマローンは渋くてかっこよすぎる。
ショーン・コネリーを見てるだけで酔える映画でした。
 
近年の映画のタイトルバックが淡白でつまらないのは、主張するべき音楽が弱いから。
本文でも触れましたが、この作品のエンニオ・モリコーネの音楽が素晴らしすぎる。
各シーンごとに変わる各テーマ音楽はどれも強烈な印象を与えている。
私はこの作品のタイトルバック、数ある映画の中でも3本の指に入るくらい好き。
シルエットの周りをゆっくり回るだけのシンプルなタイトルバック。
16ビートのスネアに変拍子のピアノが絡み、「ドン!」って太鼓のアクセントを引きで見せるタイトルを初めて劇場で観たとき、鳥肌がブワ~って立った。
シルエットが観客に向かって伸びてるんですよ。
そう、映画はスクリーンの向こう側から我々に光を当てているんですよね。
 
(その『アンタッチャブル』のタイトルバックの観れるリンク先を貼っておきます)
 
 
 
http://www.youtube.com/watch?v=r9NH-NBF-Bc
 
 
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